公認心理師

豊かに生きることを支えるカウンセリング

子どものことを相談する親がいる。これまで、相談機関なんていうものにはまったく縁がなかったにも関わらず、子どものことで園や学校の先生から相談機関にいくことを勧められて、生まれて初めて専門家への相談という門をくぐる。そこで、子どもの対応につい…

不登校のこどもとその親たちへ

不登校のこどもとその親たちへいろんな偶然が重なり、不登校のこどもとその親たちを支援する事業を立ち上げることになった。これまでも不登校のこどものセラピーはやってきたし、不登校のこどもの親御さんの相談にも乗ってきた。けれど、予算がつくような事…

感じていることを感じられるようになること

感じていることを感じられるようになることクライエント中心療法のロジャーズの弟子で、アメリカの臨床心理学者のジェンドリンは、「今ここで感じていることに意識を向けられるようになること、そしてそれを言葉にすること」の大切さを提唱した。彼はそれをe…

多様な人の多様なゴール

自分が「勝ち組ではない」と受け入れること人類が生き残る上での戦略として、集団の中に多様な人間が存在していることは重要だという説がある。例えば、ある遺伝子を攻撃するウイルスが流行したとする。 同じ遺伝子を持つ人間のみで構成された集団であれば、…

良くないことの意味

話を聞くことで はじめはよくわからなかったものが なんとなくわかってくる。あるいは わからないこと自体が あまり気にならなくなってくる。そんな状態の時は、 目の前のクライエントに、 真摯に向き合えていると感じる。「クライエントのことがよくわから…

親子で箱庭をつくるということ

はじめに私は、こどもやその親へのカウンセリングをメインの仕事としている。 こどもとのセラピーに箱庭を使うことがあり、こどもが誘ってくるときには私も一緒に箱庭をつくることがある。改めて説明すると、箱庭療法とは、砂の入った箱の中に、ミニチュア玩…

親のどのようなかかわりが、子どもを「ちゃんとした大人」にするのか

「子どもに悪い道に進んでほしくない」 というのは、ほとんどの親が思うことだろう。子どもをひどく虐待する親であっても、 「子どもにちゃんとした大人になってほしいから」 という理由を述べる者が多い。虐待親に関しては、 それが本当か、単なる責任逃れ…

抽象化しない

抽象化すればするほど、 自分が指し示そうとする「それ」と 他者がイメージする「それ」はズレやすくなる。気を抜いていると、 どんどん抽象化していく。自分がわかっていることは、 相手もわかっていることだろうと、 そのように思い込み、 抽象化された発…

狭間に在ることに耐えうる力

家族療法という心理療法心理療法の一つに、家族療法というものがある。家族療法では、 問題は家族というシステムの中で起こっていることと捉える。その問題は、システムの中で 必要とされているから維持されているのであり、 システムがそれを必要としなけれ…

カウンセリングは問題解決ではない

カウンセリングの目的は問題解決ではないカウンセリングの目的を、問題解決と誤解している人は多い。カウンセリングの目的は問題解決ではない。カウンセリングの目的は、 クライエントが主体的に生きられるようにすることである。「カウンセラーに問題解決し…

捉えるというだけ

「意識」と「無意識」がある。心理士の中にも、 「意識」を重視する人と、 「無意識」を重視する人がいる。「意識」を重視する人と、 「無意識」を重視する人との間には、 対立が起こりやすい。初学者においても、 知らないうちに、 その論争に巻き込まれて…

ASDの診断がつかない子ども

ASDの特徴があっても、診断がつかない子がいる。 ASD(自閉スペクトラム症) の特徴は2つ。①空気が読めない (コミュニケーションの問題)②興味の偏りやこだわりがある しかし、ASDの特徴があるだけでは、医学的な診断はつかない。 児童精神科や発達小児科…

ADHDの子どもたちと

ADHDの特徴は3つ。①絶えず動き回っている②考える前に行動する③うっかりしている ADHDの子は、多くのエネルギーを持っている。いろんなことにチャレンジする行動力を持っている。 そして、人と関わることが好きな子が多い。リーダーシップを発揮することも多…

子どもが泣き喚いている。

赤ちゃんは、 不安になると、 泣き喚く。赤ちゃんは、 不安を自分で処理できないから 泣き喚く。不安で泣き喚いてる赤ちゃんは、 母親に抱っこしてもらうことで、 安心して、落ち着く。赤ちゃんの不安を、 母親が一緒に処理するのである。赤ちゃんが泣き喚く…

カウンセリングの効果〜ライザップ先生の教えから〜

カウンセリングを受けることで、どのような結果が現れるだろう。そんなことを考えていると、「結果にコミットする」というライザップのCMが流れてきた。 ライザップは、「課題解決型」のビジネスであり、ライザップは結果にコミットする。ライザップがコミッ…

100円均一セラピー

あるセラピーの技法を紹介するときのキャッチコピーとして、『実際に効果があったセラピーに共通する、いくつかの要因を抽出して組み合わせた技法』という謳い文句を目にすることが増えた。そんなキャッチコピーを目にするたびに、なんだか腑に落ちないよう…

社会が不用と判断するものを掬い取るカウンセリング

社会の流れに沿うように、心理療法やカウンセリングの世界でも、エビデンスや目に見える結果が求められるようになっている。心理療法だったりカウンセリングの世界というのは、有象無象が混在しているという現状がある。そのような現状をふまえて、自分たち…

子どもたちの問題行動をどう捉えるかという話

私は基本的には、問題行動を起こしたくて起こしている子どもはいないと思っている。子どもたちの問題行動は、子どもたちのこころと環境との間、あるいは子どもたちのこころと考えの間に、何らかのひずみが生まれた時に起こるものだと思っている。こころと身…

行動の問題を起こす発達障害の子どもたちと

発達障害の子どものカウンセリングをすることが多い。ただ、発達障害の特徴についての相談でカウンセリングにつながってくる子はほとんどいない。皆、何かしら行動の問題を起こして、その行動の問題の改善を求めて、カウンセリングにつながってくるのである…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション12

#13~#14 それぞれの道へ、それぞれが療育と関わりながらA事業所に残るスタッフと、新たな場所に移り療育を始めるスタッフ、そして新たにA事業所に雇われたスタッフが混在する中でのコンサルテーション。#13と#14のセッションでは、A事業所がど…

病院の中での臨床心理士の役割

病院で働く臨床心理士には、全体を見る視野の広さが必要である。全体というのは、病院全体でもあるし、社会全体でもある。精神科医の岡野憲一郎氏は、今後期待される心理士の役割として、今後、精神科病院の中での司令塔的な役割を挙げていた。現在の精神科…

心理療法におけるアセスメントについて

アセスメント(英: assessment): 評価・査定・分析 利用者に関する情報を収集・分析し、自立した日常生活を営むために解決すべき課題を把握すること。 (wikipediaより)治療を行う際に欠かせないのがアセスメントである。患者の状態を把握し、課題を見出し…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション11

#12 ブレークスルー〜急な知らせ次回の事例検討会のやり方について、児童発達支援管理者の先生から相談があった。自分たちにとって、『療育とは何か』を振り返るセッションを一度設けたいというのである。筆者としては、前回のセッションの中で事業所のス…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション10

#10~#11「枠を越える~コンサルタントが現場に入る」そんな中、10回目の事例検討会の中で、「コンサルタント(筆者)が支援をしているところを実際に見たい」という要望が上がる。基本的なコンサルテーションのスタンスとしては、スタッフへの間接…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション9

【対象児】 小学校2年生の男児。ASDとADHDの診断あり。コンサータ服用中。【事業所が困っている対象児の行動】 奇声をあげたり、大声を出す #7~#9「さらなる主体性の広がり~困りの顕在化」この時から、スタッフが自分たちで考えて動き始めることが増…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション8

【対象児】 小学校2年生の男児。ASDとADHDの診断あり。コンサータ服用中。【事業所が困っている対象児の行動】 奇声をあげたり、大声を出す#3~6 スタッフの主体性の芽生え【ケース検討の中で導き出された、この時点での本児の行動の理由】家庭や学校で…

臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション5

方法コンサルテーションを行う事業所の概要 X年4月開所。設置者は療育の経験や知識がない土木関係の会社の経営者。 主要なスタッフ4名は保育士の資格を持ち、内3名は保育園での勤務経験があるが、療育機関での経験があるスタッフはいない。 事業所側から筆…

一郎くんの箱庭療法〜「普通」の人のための箱庭療法の説明書【事例編】①〜

「普通」の人のための箱庭療法の説明書箱庭療法という心理療法がある。やり方はいたってシンプルで、砂が入った箱の中にミニチュアを並べて、好きなように表現するというだけ。その表現されたものを、作り手であるクライエントと、見守り手であるカウンセラ…

知的障害って?〜「発達障害」と診断された人のための「発達障害」の説明書13〜

一緒につくるマガジン【「発達障害」と診断された人のための「発達障害」の説明書】と題して、マガジンの連載をしている。このマガジンは、『一緒に作るマガジン』という設定。「受け身ではない、主体的な学びの機会を作りたい」 という思いからの『一緒に作…

(予告)「普通」の人のための箱庭療法の説明書【事例編】

「普通」の人のための箱庭療法の説明書【理論編】箱庭療法という、あまりメジャーでもない心理療法を、世の中に広めたいという想いでマガジンを作成した。 箱庭療法は、現在、精神科の病院や児童相談所などで、いわゆる「特別」な人に対して行われている。し…